モンスタークレーマーに効く対応 「出ていけ!お前は客じゃない」と逆謝罪させる
ささいなミスを大げさに取り上げて文句をつけ、過度な「おわび」を要求するのが「モンスタークレーマー」だ。しつこく絡んできたり、時には脅し文句を吐いて威嚇してきたりと、たちが悪いケースもある。
クレーマーの対処法は多くの専門家が説明しているが、インターネット上にこんな書き込みがあった。堪忍袋の緒が切れた上役が激怒し、「逆謝罪」させたというのだ。
何もしないと「社員を守れない会社」のレッテル
理不尽なクレームには頭を抱えたくなるが…
3年ほど前の書き込みが、今になって話題を呼んでいる。日本と中国で観光業のコンサルティングを手掛ける「レジャーサービス研究所」のブログに2010年3月24日掲載された、あるクレーマーの事例。「クレームを通り越して『イチャモン』をつけている」ようで、商品やサービスだけでなくスタッフに対しても文句をやめなかったという。
そこに登場したのが「欧州系の支配人」だ。クレーマーに対して「出ていけ!お前は客じゃない」と激怒したうえ「スタッフはお前の奴隷じゃない。謝れ」と迫り、クレーマーに謝罪させたそうだ。
支配人によると「一定のライン」まではスタッフに全力で対応させるが、それを越えると心に深い傷を負い仕事に恐怖を感じるため、「スタッフを守るのが義務」と考え行動に出たと明かした。
ネット掲示板の感想を見ると、「これってクレーマー撃退に有効な一手なんじゃね?」とみる人がいる。理不尽な要求を「これでもか」と続け、脅してくる輩はもはや客ではないと追い出しにかかってもやむを得ないというのだ。ただ、「下手に扱ったらツイッターとかで一方的に叩いて拡散炎上とかあるしな」「(クレーマーは)都合よく解釈して店の評判落とそうとデマばらまいたりするから客を客じゃないって言うのもまた店にとっては茨の道だ」との指摘も出た。
元大阪府警刑事のクレーム対応コンサルタント、援川聡氏はJ-CASTニュースの取材に、「毅然とした意思を示した点ではよかったと思います。ただしその後、相手がネットで『大声で恫喝された』などと書き込むリスクが生じるので、方法としてはやや難ありかもしれません」と指摘する。
コーチングやマナー研修を行う「ラプラス」の長尾円氏は、講座の中でクレーム対応の事例を扱うことがあるという。取材に対して「個人的には、この支配人の対応は正しいと思いました」と話した。
相手が「一線を越えた」のにリーダーが何の手も下さないのであれば、メンバーは理不尽な攻撃にさらされ続ける。結果「社員を守れない会社」のレッテルを張られるというのだ。
初期対応では相手の話をきちんと聞く
では「一線」はどこで見分けるのか。クレーマー全員が「モンスター」とは限らない。援川氏は著書「困ったクレーマーを5分で黙らせる技術」の中で、初期対応では相手の主張をきちんと聞き、必要であれば誠意をもってわびるのが大切だと説く。「となりのクレーマー」などの著書がある苦情・クレーム対応アドバイザーの関根眞一氏は、雑誌「戦略経営者」2012年9月号のインタビューで「クレームがこじれるのは、大抵の場合、初期対応の不満」と述べている。
長尾氏も、最初に相手の言い分にじっくり耳を傾けると話す。「クレーマーは(商品やサービスへの)期待がとても大きく、それにこたえられないと落胆し、さらには怒りに変わります。当人の立場になって話を聞くうちに『この人は我々に期待してくれている、今後も顧客でいてくれる』と分かれば、きちんと対処するのは当然ですし、相手も冷静になって最後は理解してくれるものです」と説明する。
一方、「文句を言ったもの勝ち」とばかりに過剰な要求を突き付けてくる人は、スタッフばかりかほかの客にとっても迷惑な存在だ。「言い分を聞いても筋が通っていない、ただ感情に任せて理不尽な物言いばかりする人には、こたえる必要のない求めに対してきっぱりとお断りします」。要は、話を聞くなかで「正当な主張をしている人」か「モンスタークレーマー」かの区別がつくようだ。
「モンスター」に対しては譲歩の必要なし、という点で専門家の意見は一致する。脅しに震え上がって、その場しのぎで要求にこたえればますますつけあがる余地を与えてしまうからだ。クレームをつけられたら、会話のやり取りを記録する、複数人数で交渉にあたる、安易な約束をしないという基本的なテクニックはあるが、いくら話をしても相手が不当な要求を引っ込めないのなら「対応を顧客満足からリスクマネジメントにチェンジする」(援川氏)、すなわち弁護士や警察と連携して持久戦に持ち込む手段を視野に入れなければならないだろう。この段階では、解決を急ぐ必要などないそうだ。
引用元:http://www.j-cast.com/2013/12/07190617.html?p=all