「夢が生まれる場所にしたい」 二戸駅前空き店舗をシェアワークスペースに
建物を改修して新たな価値や機能を生み出す「リノベーション」。シャッターを閉じた商店の目立つ二戸市石切所の二戸駅前にある1軒の空き店舗がこの手法によって生まれ変わった。手掛けたのは、市観光協会コーディネーターの永井尚子さん(44)と自営業柴田恵理子さん(34)。内装の整備や配電などの工事はすべて自らで行い、他業種の個人経営者が集う「シェアワークスペース」を新設した。永井さんは「利用者が新しいことにチャレンジできるような、それぞれの夢が生まれる場所に育てたい」と意気込む。
2人は昨年、まちづくりに取り組む人材の育成を目指す「二戸なりわい創生塾」に入り、研修の一環として北九州市で開かれたリノベーションスクールに参加。永井さんは施設の活用方法、柴田さんは大工技術をそれぞれ学び、長らく使用されていない物件が再び利用される魅力に引き込まれた。
スクール修了後、市内から賛同者を集め、個人事業主のオフィススペースやハンドメイド作家の発表の場をつくる「むすびめデザインプロジェクト」を立ち上げた。物件を探す中で、白羽の矢を立てたのが、にぎわいを失って久しい二戸駅前商店街だった。
かつては、さまざまな生活用品や食料品を扱う店舗が軒を連ねていたが、郊外への大型ショッピングセンターの出店や各店の経営不振などから徐々に衰退。東北新幹線開業も駅前の活性化に結びつくことは無く、徐々にシャッター通りとなっていった。
「二戸駅前のにぎわい復活を後押ししたい」と考え、今年5月に約150平方メートルの広さを持つ木造2階建ての物件を借り受けた。財団法人の助成金が下りたが、改装には多額な予算が必要となるため、建物の解体時に出る木材やガラスを格安で購入した。
地元建築士の指導を受け、内装や外観を整備。広い店舗部分は壁でさえぎり、イベントや会合に使えるフリースペースやテナント部分を新たに設置。古材ならではのぬくもりあふれる外観も整えた。
建物には、コーヒー豆販売店やセラピーサロンなど4店が入所。1階の一部と2階は未着工だが、入所者の希望に合わせ、その都度工事を進めていく。19日に開かれたお披露目会では訪れた多くの関係者や地域住民とともに、数年間シャッターに閉ざされた空き店舗の新たな門出を祝った。
今後は、利用者たちでアイデアを出し合いながら、イベントを企画していく予定。自身もアクセサリー制作を行う柴田さんは「これまでは作品を発表できる場がなかなか無いのが現状だった。多くの人に利用してもらい、人を生かす場所となってくれれば」と期待を込める。
再生した建物は、枝を意味する「ブランチ」と命名。永井さんは「これまで顔を合わせる機会の少なかった利用者同士で互いに刺激し合い、それぞれが自由に自分の枝を伸ばしてほしい」と夢を描いている。
引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161127-00010002-dtohoku-l03